私たち、“冬の都市”に住む市民は「冬」の寒さや雪を大きな試練と考えがちです。確かにそういう側面もありますが、「冬」が我々に与えてくれる恵みも大きいことを忘れてはいけません。たとえば、雪が豊富な水の供給源として、あるいは、冬の観光資源として、”冬の都市”の市民にとって貴重な財産となっているのです。「世界冬の都市市長会」は、“冬は資源であり、財産である”というスローガンのもと、気候や風土の似ている世界の北方都市が集まって共通する課題について話し合うことを目的とする北方都市会議を1982年にはじめて札幌で開催して以降、その活動を継続してまいりました。近年のグローバル化と高度情報化の急速な進展により我々を取り巻く環境も大きく変わり、ヒト、モノ、サービスの国境を越えた移動が地球規模で拡大し、情報通信技術の発達に伴って国際社会の相互依存性も急速に進む中、このような都市間ネットワークの重要性はますます高まっています。
「世界冬の都市市長会」は、“冬は資源であり、財産である”というスローガンのもと、世界中の冬の都市が集まり、冬の技術や経験、まちづくりの取り組みを学び合うためのネットワークです。かつては、北方都市会議と呼ばれ、1981年に札幌市が提唱し、翌年、第1回の市長会議を開催したのが始まりです。2004年には、さらなる発展を目指し、名称を「世界冬の都市市長会」に変更しました。冬の都市の市長が一堂に会し、快適な冬のまちづくりに有益な情報や技術を共有しながら、地球環境問題のように世界が協力しなければならない課題にも、国際社会の一員として取り組んでいます。積雪寒冷という同じ環境にある海外都市とのこうした交流が、それぞれの都市にとって有形・無形の財産を築くことにつながっています。また、世界冬の都市市長会は、1997年より国連の広報局および経済社会理事会にNGOとして登録されています。