世界冬の都市市長会(WWCAM)

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第18回瀋陽市長会議

 

全体概要

 2018年9月12日から14日までの3日間、中国・瀋陽市において、1985年の第2回市長会議以来33年ぶりに世界冬の都市市長会議が開催され、世界各国から会員都市とオブザーバー都市、瀋陽市の友好都市が参加して、事例紹介や環境行動目標の中間報告が行われました。

 ・開催期間:2018 年9 月12 日(水)~13 日(木)

 ・開催都市:中国・瀋陽市 

 ・会場:ニューワールドエキスポ、シャングリラホテル

 ・参加都市:21カ国46都市(うち会員都市7カ国17都市) 

 ・メインテーマ:冬の都市の暮らしをより良くしよう! 

 

会議参加都市(会員都市) 7カ国・17都市

カナダ

エドモントン市

中国

長春市、ハルビン市、ジャムス市、吉林市、鶏西市、牡丹江市、チチハル市、瀋陽市

フィンランド ロヴァニエミ市

日本

松本市、札幌市

モンゴル ウランバートル市

韓国

華川(ファチョン)郡、麟蹄(インジェ)郡、太白(テーベク)市

ロシア

ノリリスク市

 

会議参加都市(オブザーバー参加都市) 18カ国・26都市/地域

オーストラリア

ビクトリア州

アゼルバイジャン

ガラダグ地区

ベラルーシ ミンスク市

カナダ

バンクーバー市

フィンランド ケミ市、ヤムサ市
フランス クレルモン=フェアラン市、ギヨーム市
ドイツ バイエルン州、ブレーメン市、フライブルク市
日本 函館市、釧路市
ラトビア ユールマラ市
モロッコ ラバト市
ポルトガル ブラガ市
韓国 ソウル市、仁川市、大田市、春川市、群山市、公州市、平昌市

セルビア

ズレニャニン市

ウガンダ

ジンジャ市

ウズベキスタン

アンディジャン州

イギリス

ベルファスト市

アメリカ

ソルトレイクシティ市

ウルグアイ

フロリダ県

 

基調講演

 7都市が、会議のメインテーマおよびサブテーマに沿った発表を行いました。
 世界冬の都市市長会の会員都市からは、開催都市である瀋陽市の姜有為市長が都市部と農村部の不均衡や重工業を中心とした産業からのモデルチェンジ、高齢化の進展に伴う福祉政策などの総合的なまちづくりの取り組みについて講演したほか、世界冬の都市市長会事務局長である札幌市の見上雄一市長室長が、「都心エネルギーマスタープラン」に基づく、低炭素化や災害時における持続可能なまちづくり等について、「さっぽろ創世スクエア」の事例を通して紹介しました。
 また、オブザーバー参加都市からは、モロッコ・ラバト市長から環境にやさしく、持続可能な都市に向けての取り組みについて、ベラルーシ・ミンスク市長から冬季スポーツを中心にした街づくり事例について、韓国・ソウル特別市の副市長から交通政策を中心としたまちづくりの取り組みについて、アゼルバイジャン・ガラダグ地区長から豊富な観光資源と天然資源を有するアゼルバイジャンで産業の中心都市のひとつとなっている同地区の可能性について、そしてイギリス・ベルファスト市長から2035年を見据えた都市計画のビジョンについての発表が行われました。

 

開会式であいさつする姜有為 瀋陽市長

 

事例発表

 会員都市のフィンランド・ロヴァニエミ市は、木材、泥炭、水力を活用したグリーンエネルギーの取り組みと電力使用量に占める割合の推移について、中国・ハルビン市は国内外の文化が共存する都市の冬を彩る数々のイベントについて、カナダ・エドモントン市は5年目を迎えた「ウィンターシティ戦略」に伴う市民の冬の行動傾向の変化と今後の改善点について、韓国・華川郡は人口2万7000人の町に世界中から観光客が訪れるヤマメ祭りについて、日本・松本市は、健康寿命延伸都市を目標に進める国宝松本城を中心としたまちづくりについて、ロシア・ノリリスク市は、市の経済を支えるノリリスクニッケル社による地域社会への貢献や公共サービス・施設の充実に向けた取り組みについて紹介されました。
 また、オブザーバー都市では、フランスのクレルモン・フェラン市から、ミシュラン本社を有する産業都市のスマートシティ政策について、カナダのバンクーバー市からは最も環境にやさしい都市を目指すアクションプランとその進展について、アメリカのソルトレイクシティからは、現在の市長就任に伴い新設された経済開発部の役割や電力の完全再生エネルギー化と温室効果ガスの8割削減を掲げる市の取り組みについて発表が行われました。

 

環境行動目標の中間報告

 2018年1月の札幌実務者会議において各都市が発表した環境行動目標について、中国の長春市、ハルピン市、ジャムス市、鶏西市、瀋陽市、日本の松本市と札幌市、韓国の華川郡、麟蹄郡、太白市の10会員都市が取組状況の中間報告をおこないました。
 加えて、カナダのエドモントン市から2015年に採決された環境戦略に基づく再生エネルギーへの転換と大気汚染対策の取り組み、中国の吉林市から吉林省の3か年計画に基づく微小粒子状物質PM2.5の減少と大気質の改善に向けた取り組み、チチハル市から太陽光・風力・バイオマス発電等を活用したエネルギー転換と省エネの取り組み、モンゴルのウランバートル市から補助金を用いた再生エネルギーやクリーンエネルギー利用の推進についても発表が行われました。
 各都市の取り組みは、2020年のロヴァニエミ市長会議で最終報告が行われます。

 

瀋陽宣言と決議の採択

 会期中には、瀋陽市及び事務局から提案された瀋陽宣言が全会員都市の賛同を得て採択され、オブザーバーも含む各参加都市の代表者が調印を行いました。調印は会場のバックパネルに各代表者がサインをする形で行われ、調印後には当該バックパネルの前で記念写真撮影が行われました。また、13日の全体会議では、決議案が満場一致で採択され、瀋陽市副市長による挨拶と閉会の宣言をもって2日間の会議は幕を閉じました。

 

瀋陽宣言

 私たち20ヶ国47都市の代表は、2018年9月、第18回世界冬の都市市長会議に出席すべく、瀋陽市に集った。
 平和的発展と地域協力の機運を踏まえ、1981年に提唱され始まった世界冬の都市市長会は、まちづくりの先進事例を共有し、相互理解と信頼を高めるための卓越した枠組みへと発展を遂げた。そして、過去の会議を基盤に、今回の会議では、会員都市のみならず、同じ問題に直面している世界の都市を迎え、この国際ネットワークに新たな活力をもたらしている。
 会議のテーマである「冬の都市の暮らしをより良くしよう」は、世界中の人々のより良い生活への願いと真摯な追求だけでなく、行政としてのまちづくりの責任の所在を明示している。緻密な計画、細やかで無駄のない都市建設及び環境に配慮した開発、そして、幸せな冬の都市のための共同努力などのテーマにおいて深い意見交換を重ねた結果、友情の強化、交流と協力の促進、相互理解と信頼の向上などにおいて、見解の一致という成果に到達した。
近代文明の象徴として、都市は世界の繁栄と発展に大きく貢献してきた。グローバル化の急速な進展につれて、都市の国際化には都市の相互依存が伴ってきている。文化的背景や開発段階が異なる国々であっても、互いの理解を深め、尊重し、ともに発展していく必要がある。 私たちは、開拓、包括、協力、互いの利益となる成果をコンセプトに、都市間の友好交流と綿密な協力を促進し、相互信頼を高め、共通の発展を実現することに全会一致で同意するものである。
 現状の課題を前にして、私たちは新しい成長の道を切り開き、新たな成長の勢いを生み出すべきである。イノベーション、新産業革命、デジタル経済などの新しい手法を用いて、世界の都市の経済発展につなげていこう。
 私たちは、国際交流において最も貴重なパートナーシップの精神をもって前進するべきである。 国や都市の状況や開発段階、直面している課題は異なっても、私たちは経済成長の願いとまちづくりのビジョンを共有している。私たちがパートナーシップの精神を貫く限り、すべての困難を克服し、将来の成長のための新しい道筋を描くことができるであろう。
過去は序章である。我々は手を携えて前進し、協力共栄の新しいページを描き続けよう。より高い出発点に立ち、より寛容で開放的な新しい調和の時代を受け入れよう。そして、私たちのまちをより美しくし、市民のためにより幸せな生活を創造していくことをここに宣言する。

 

北極圏デザイン小委員会

 北極圏デザイン小委員会は、2015年に設置され、フィンランド・ロヴァニエミ市が事務局を務めていますが、長年担当してきたタルヤ・オウティラ氏がその研究を深めるため市役所を退職しオウル大学に転職したため、後任者が着任するまでの間、一旦活動を休止することが発表されました。今後の展開の方向性として、自治体だけではなく、大学等の高等教育機関や研究機関、企業等も巻き込みながら取り組みを進めていきたいという考えが示されました。

 

併催イベント

世界冬の都市商工業界交流会・プロジェクト発表会と都市・観光PRショーケース
 世界冬の都市市長会の併催事業として、9月12日にシャングリラホテルを会場に「世界冬の都市商工業界交流会」が開催されました。アフリカ、南北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの国と地域から50以上の団体の代表者が参加してプロジェクト発表会が行われたほか、個別商談会も実施されました。また、9月13日には、日本都市・観光PRショーケースと題したイベントも行われ、参加都市や現地メディア、旅行会社に向けて函館市、釧路市、松本市、札幌市の魅力を発信しました。

 

瀋陽国際友好の夕べ
 オペラ劇場である盛京グランドシアターでは、観客と出演者あわせて1000人以上の規模で瀋陽国際友好の夕べが開催されました。中国の伝統的な音楽や雑技等の芸能、子どもたちやミュージシャンによる各国の歌や音楽が披露されたほか、瀋陽在住の外国人による、外国人の目から見た瀋陽市の魅力も紹介されました。

 

市内視察・ウォーキングイベント
 2008年北京オリンピックのサテライト会場としてサッカー競技が行われ、現在も競技やコンサート会場として利用されている瀋陽オリンピック・スポーツセンター・スタジアムを視察したほか、瀋陽市の「母なる川」と称される渾河の北岸に整備された五里河公園を散策し、市民グループが健康維持のために武術、太極拳、太極扇などの運動を行っている様子を見学しました。

 

 

2019年ノリリスク実務者会議で行われた瀋陽市長会議の報告プレゼンテーション資料

 

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