世界冬の都市市長会(WWCAM)

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第15回ウランバートル市長会議

 

全体概要

 平成24年1月13日から15日までの間、第15回世界冬の都市市長会議をモンゴルの首都ウランバートル市で開催いたしました。メインテーマ「冬の都市におけるエネルギー供給と熱の効率的な利用」のもと7か国13都市の市長や代表者が参加し、3つのセッション(1.熱エネルギーの効率的な利用、2.電力の効率的な利用、3.冬の都市における大気汚染と対策)において、熱い議論を交わしました。

  ・開催期間:平成24年1月13日(金曜日)~1月15日(日曜日) 

 ・開催都市:モンゴル・ウランバートル市 

 ・参加都市:7カ国13都市(うち会員都市6カ国12都市) 

 ・メインテーマ:冬の都市におけるエネルギー供給と熱の効率的な利用 

 

会議参加都市(7カ国・13都市)

中国

長春市、ハルビン市、ジャムス市、チチハル市、瀋陽市

エストニア

マールドゥ市、ヴィームシ市

日本

札幌市

韓国

華川(ファチョン)郡、太白(テーベク)市

モンゴル

ウランバートル市

ロシア

ウラン・ウデ市

アメリカ

アンカレッジ市

 ※ウラン・ウデ市は、オブザーバー参加です。

 

第15回市長会議時WWCAM都市代表者

会議参加者による記念撮影

 

市長会議セッション

 はじめに、「冬の都市におけるエネルギー供給と熱の効率的な利用」をテーマに、バット・ウランバートル市ゼネラルマネージャーからの基調講演が行われ、ウランバートルの熱供給源としてセントラルヒーティングを増やしているが、現在、ウランバートルの熱供給源の6割が石炭であり、ゲル地区の住民を住宅に移し、さらに石炭の使用を削減していく必要があることなど報告がありました。

 

セッションA ~熱エネルギーの効率的な利用~

 ウランバートル市(モンゴル)からは気候と地形の問題もあり大気汚染が深刻であること、今後、太陽光などの再生可能エネルギーを活用していきたいとの報告がありました。華川郡(韓国)からは、地域のエネルギー源として水力、風力、太陽光、地熱などがあるが、特に森林資源(木質ペレット)の活用を図っているとの報告のほか、家庭でのエネルギー消費原因を調査したうえで、市民に公共の交通手段や自転車の利用を呼びかけたり、7つの節電方法を提案し、個人でできるエコの取組を推奨している事例が紹介されました。

 

セッションB ~電力の効率的な利用~

 はじめにウランバートル市(モンゴル)より、冬の厳しい寒さにより冬期の電力消費量が増えるとともに、メンテナンスの問題も生じるなどの問題点のほか、大気汚染の悪化が著しいゲル地区に電気暖房を普及させて汚染の緩和を図るには、現在の5~8倍に電力供給量を増やす必要があるとの報告がありました。札幌市からは、太陽光発電やLED街路灯の積極的な導入の報告のほか、木質バイオマスの活用やコージェネレーションシステム、雪冷熱の活用による熱の効率的な利用について報告がありました。

 

参加者

ウランバートル市長会議の様子

 

記者会見

記者会見

 

セッションC ~冬の都市における大気汚染と対策~

 ウランバートル市(モンゴル)からは、大気管理局の設置、電気バスの導入、再生可能エネルギーへの転換、熱電併給プラントの建設、ゲルに暮らす住民を対象としたアパート購入における低利子ローンの提供などを通して、大気汚染の6割削減を目指す旨の報告がありました。マールドゥ市(エストニア)からはオイルシェールの燃焼により発生する灰や二酸化硫黄がエストニアの大気汚染の原因になっていること、マールドゥでも主要産業である鉱物の精製所や化学工場により、歴史的に土壌、大気、水質汚染が見られることについて説明があり、現在、大気汚染のモニタリングを実施し、環境保全に努めている旨の報告がありました。

 瀋陽市(中国)からは、産業の発展と冬期の石炭使用により大気汚染が著しかったが、経済と環境が共存する都市を目指して、汚染物質を大量に排出する工場の閉鎖、モニタリングの強化、環境保護法の制定などを行った結果大気汚染の大幅な緩和が見られたこと、現在でも(特に冬期は)大気汚染は切迫した問題であり取り組みを続けているとの報告がありました。また、チチハル市(中国)からは、石炭の拡散燃焼を監視するモニタリングステーションの設置、エネルギーの再利用による熱供給、産業汚染のモニタリング、バイクの排ガス規制などにより大気の状態に一定の改善はみられるが、引き続きさらに対策を強化していく旨の報告がありました。

 

ウランバートル宣言と決議の採択

 市長会議の締めくくりとして全体会議が開催され、ウランバートル市及び事務局から提案されたウランバートル宣言及び決議が満場一致で採択され、ウランバートル宣言には、同市市長及び札幌市長(世界冬の都市市長会会長)の署名が行われました。

 ウランバートル宣言では「この会議で得たエネルギーと熱の効率的な利用をさらに探求するとともに、市民一人一人が省エネルギーの重要性を認識するよう、積極的に啓発する責務を有する」ことをうたい、決議において、各会員都市が可能な範囲で数値目標を設定し、次回市長会議で報告することとしました。また、2016年に開催予定の第17回世界冬の都市市長会議の開催都市が札幌に決まりました。

 

ウランバートル宣言

 今、世界各地において、様々な異常気象や自然災害が多発し、多くの尊い人命が失われ、財産を失い、過酷な環境での生活を強いられている。しかし、我々は、この災害による被害を最小限に抑え、より安心・安全な社会を築き上げなければならない。この原動力となるのは、助け合う心、そして、困難に立ち向かう努力と知恵である。

 困難な時の温かな支援は、真の友情と平和を育む。我々会員都市は、お互いの友情と様々な分野における可能な限りの協力をここに再確認する。

 そして、現在の異常気象の一因である温室効果ガスの排出抑制に努めることが重要である。そのためには、限られた資源を有効に活用しなければならない。我々は、この会議で得たエネルギーと熱の効率的な利用をさらに探求するとともに、市民一人一人が省エネルギーの重要性を認識するよう、積極的に啓発する責務を有する。

 我々は、エネルギー消費量の削減及び環境への負荷の少ない都市活動の実現が、冬の都市に住む者にとって重要な課題であることを再認識し、各都市がこの問題に対し最大限の努力で取り組んでいくことを、世界冬の都市市長会としてここに宣言する。

 

署名

ウランバートル宣言に署名するムンフバヤルウランバートル市長と上田市長

 

宣言披露

ウランバートル宣言を披露するムンフバヤルウランバートル市長と上田市長

 

小委員会

 2008年のヌーク市長会議でアンカレッジ市により設立された「自治体の諸活動における環境保全活動調査小委員会」の最終報告が行われました。最終報告では、アンカレッジのエネルギー保全、エネルギー効率、電力の有効利用に重点を置いた報告がなされました。

 さらに、長春市が事務局を務める「環境保全小委員会」が開催され、長春市環境保護局の閻文局長から、「冬期の大気中の微粒子物質の原因に関する調査」と「融雪剤が環境に与える影響」という2つのテーマについて、進捗状況の中間報告がありました。

「自治体の諸活動における環境保全活動調査小委員会」(アンカレッジ市)の最終報告

「環境保全小委員会」(長春市)の中間報告

 

冬の見本市

 会議と併せて「冬の見本市」が開催され、ウランバートル、ハルビン、札幌の3都市から合計33ブースの出展がありました。札幌からは住宅建設や造園などを紹介する7ブースが出展しました。会場には大勢のモンゴルの方々が訪れ、各ブースをひとつひとつ巡りながら熱心に見ていました。

 

出展都市名 出展数 出展内容
ウランバートル 23ブース エネルギー住宅、暖房、衣料、食品関連
ハルビン 3ブース 鉛筆、木材、貿易
札幌 7ブース 住宅、土木、造園、防災、企業紹介、札幌PR

 

開会式

冬の見本市開会式

 

冬の見本市ブース

冬の見本市出展ブース

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