世界冬の都市市長会(WWCAM)

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第16回華川市長会議

 

全体概要

 平成26年1月16日から18日までの間、第16回世界冬の都市市長会議を韓国の華川(ファチョン)郡で開催いたしました。メインテーマ「冬の都市におけるありのままの自然と資源としての自然を保全し、それらを将来に渡って活用していける有効な方法について」のもと4カ国12都市の市長や代表者が参加し、2つのセッション(1.資源としての自然を活用した観光コンテンツの充実と観光産業の促進、2.自然環境保護活動を通した「冬の都市」のイメージアップ)において、議論を交わしました。

 ・開催期間:平成26年1月16日(木曜日)~1月18日(土曜日) 

 ・開催都市:韓国・華川郡 

 ・参加都市:4カ国12都市(うち会員都市3カ国11都市) 

 ・メインテーマ:冬の都市におけるありのままの自然と資源としての自然を保全し、それらを将来に渡って活用していける有効な方法について 

 

会議参加都市(4カ国・12都市)

中国

長春市、ハルビン市、ジャムス市、鶏西市、チチハル市、瀋陽市

日本

松本市、札幌市

韓国

華川(ファチョン)郡、麟蹄(インジェ)郡、太白(テーベク)市

フィンランド

ロバニエミ市

 ※ロバニエミ市は、オブザーバー参加です。

 

会議参加者による記念撮影

 

市長会議セッション

 自然環境を保全しつつ、それを「都市の魅力づくり」「観光産業の促進」の2つの視点でまちの活性化にどう生かしていけるのか、各都市の事例を発表しながら学び合いました。

 

セッションA ~資源としての自然を活用した観光コンテンツの充実と観光産業の促進~

・札幌市:1950年に始まった雪まつりの新たな取り組みとして、昨年の雪まつりで大雪像を使ってプロジェクション・マッピングを実施した。さらにそうした取り組みが認められて2013年11月にユネスコ創造都市ネットワークへのメディアアーツ分野での加盟が実現した。

華川郡:2003年に初めて開催されたやまめ祭りは年々来場者数を伸ばし、現在では毎年100万人以上が訪れる韓国を代表する冬の祭りになった。祭りの発展には住民の協力が不可欠であり、祭り会場への入場料の一部を華川で使える商品券として還元し、地域経済の活性化にも寄与している。 

長春市:1998年1月に初めて「アイス&スノーフェスティバル」を開催し、今年で17回目の開催となる。祭りを盛り上げるため、プロスポーツや市民向けスポーツのイベントと連携し、国際交流による祭りの魅力アップにも力を入れている。祭りの活性化は、観光の活性化に寄与している。

ハルビン市:毎年1月に国際氷祭りを開催している。ハルビンの冬は厳しいが、夏のハルビンは過ごしやすく避暑地としても有名である。「東と西が出会う町」ハルビンでは多様な文化を楽しめる。

鶏西市:ロシア沿海地方に接するという特性を生かして、国境観光都市を目指している。鶏西は中国の書道を大きく発展させた地域のひとつであり、歴史的に重要な地でもある。

チチハル市:「中国の丹頂鶴のふるさと」として知られており、丹頂鶴を中心にしたエコツーリズムが観光の柱である。チチハル周辺には朝鮮族、モンゴル族などたくさんの民族が居住しており、これらの居住地を訪れるツアーも人気がある。

瀋陽市:貴重な歴史文化遺産を活用した観光に加え、雪を活用した観光にも力を入れている。冬の祭りや多彩なスキー場、効能豊かな温泉も楽しむことができる。

松本市:観光客数が落ち込む冬の誘客対策として、高さ8メートルにもなる雪の壁を見るツアーなど雪を生かした観光資源の発掘に取り組んでいる。これが地域観光に定着し旅行商品に付加されることで、観光の活性化につながると考えている。

 

セッションB ~自然環境保護活動を通した「冬の都市」のイメージアップ~

ジャムス市:急速な都市化と産業化の進展により、環境への負荷を低減しながら新たな産業を育成していくことが求められている。大気汚染物質の削減目標設定や水資源の汚染防止強化など環境保護の取り組みを進めている。

・麟蹄郡:EM(Effective Microorganisms)菌という人に有為な微生物を活用した環境保全活動を行っている。EM菌を用いることで低コストで環境汚染源を浄化することができ、家庭でのEM菌利用も促している。

 

華川市長会議の様子

 

やまめ祭りを活用したまちづくりを語る鄭甲澈(チョン・カプチョル)華川郡首

 

会員都市が取り組む環境保全に関する行動目標の最終報告

 2012年1月のウランバートル市長会議での決議に基づき、会員都市が設定した環境保全に関する行動目標について、取り組み状況の最終報告を行いました。

環境保全に関する行動目標の最終報告

 

市長ディスカッション

 世界冬の都市市長会の前身である「北方都市会議」創設の時から、本会は都市が抱える課題について市長同士が対面で率直に語り合い、お互い学び合うことを特徴としています。会員都市の市長が一堂に会するこの機会に「市長ディスカッション」を開催し、市長同士がまちづくりの課題やまちの将来を語り、よりよいまちづくりへのヒントを得ることができました。

 ハルビン、瀋陽など中国の都市では、経済発展や都市化の進行により環境保全の必要性が高まっていることに加え、交通渋滞を解消するために、公共交通や道路網など交通インフラの整備も大きな課題となっています。やまめ祭りで有名な華川、サンタクロースのふるさととして知られるロバニエミでは、このような地域の観光資源を有効に活用した観光振興策を模索しています。

 また、松本では目指すべき将来の都市像を「健康寿命延伸都市・松本」として位置づけ、「健康」に視点をおいた施策を展開しており、麟蹄では古くからある市場や地元経済を活性化させるための方策を進めるなど、特色あるまちづくりを展開しています。

 

華川宣言と決議の採択

 最終日には全体会議が開催され、華川郡及び事務局から提案された華川宣言及び決議が満場一致で採択され、同郡首及び世界冬の都市市長会会長(札幌市長)が宣言文に署名しました。

 2004年に米国・アンカレッジ市で開催された第11回市長会議において、参加者が氷河の溶解を目の当たりにし、切迫した地球温暖化に対する取り組みの必要性を認識しました。このことを契機に、その後の市長会議では環境保全をテーマに議論を重ねてきました。

 環境問題は将来にわたっても解決に向けた取り組みの継続が求められる普遍的な課題であることから、華川宣言では「今後も温暖化対策やエネルギーのあり方などの環境問題について検討し、世界に向けて発信し続けていく」こと、さらに「冬の都市こそが国際社会の先頭に立って取り組むべき立場にある」こと、各都市がこの課題に対し最大限の努力で取り組んでいく」ことを確認しました。

 

華川宣言を披露する鄭甲澈(チョン・カプチョル)華川郡首と上田市長 

 

華川宣言

 やまめの棲む美しい川、そしてその清らかな流れの源となる豊かな自然を有する華川の地において我々は、環境への負荷の少ない都市活動の実現が冬の都市に住む者にとって重要な課題であることを再認識した。 2004年開催のアンカレッジ会議の参加者は、地球温暖化の進行による北極圏の氷の溶解を目の当たりにした。それ以降、市長会議では温暖化対策、環境保全、エネルギー対策など環境問題をテーマとしてきた。

 切迫した温暖化対策への取り組みの必要性を認識することになったアンカレッジの氷河からちょうど10年、韓国最大の冬の祭りで賑わう北漢江を前に我々は、このありのままの自然を維持しながらそれを資源としてまちの活性化にどう生かしていけるかという新たなステージに進むことができた。

 温暖化の影響を強く受ける世界の冬の都市にとって、その解決が共通の課題であると強く認識されたことを契機に活動の中心として進められてきた環境問題は、将来にわたっても解決に向けた取り組みの継続が求められる普遍的な課題である。

 我々は、未来を引き継ぐ青少年の環境への意識醸成に努めつつ、さらなる段階に向けて今後も温暖化対策やエネルギーのあり方などの環境問題について検討し、世界に向けて発信し続けていくとともに、冬の都市こそが国際社会の先頭に立って取り組むべき立場にあることを改めて確認し、各都市がこの課題に対し最大限の努力で取り組んでいくことを、世界冬の都市市長会としてここに宣言する。

 

小委員会

 2010年のマールドゥ市長会議で中国・長春市により設立され、その後、1.冬期の大気中に浮遊する微粒子物質(PM)の発生源分析、2.融雪剤の使用による環境悪化、という2つのテーマを掲げて調査・分析を進めてきた「環境保全小委員会」の最終報告が行われました。

「環境保全小委員会」(長春市)の最終報告

 

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