世界冬の都市市長会(WWCAM)

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第14回マールドゥ市長会議

 

全体概要
 第14回世界冬の都市市長会議は「北の都市の環境保全の特性」を全体テーマに3日間の日程で開催されました。主要プログラムである市長会議は1月21日午後及び22日午前に開催され、参加都市からの事例紹介及び意見交換が行われました。

 ・開催期間:平成22年1月20日(水曜日)~1月22日(金曜日) 

 ・開催都市:エストニア・マールドゥ市(開催地は同国の首都タリン市)

 ・出席都市:11カ国18都市(うち会員都市9カ国14都市)約80名 

 ・全体テーマ:北の都市における環境保全の特性 

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市長会議セッション1
 21日午後の市長会議セッションでは、環境保全活動について協議が行われました。
 最初にギオルギ・ブストロフ・マールドゥ市長より「経済発展を損なうことなく、環境保全を進めることが大事である」との議題趣旨説明があり、ユリ・マーティン氏からマールドゥの現状の報告がありつつ「持続可能な開発の分野での専門家を増やす必要があり、これは世界共通の課題である」旨の発表がありました。引き続き、エリック・テイネマ氏(エストニア政府環境省)よりムーガ港地区に大気環境管理システムを導入し住民からの苦情を最低限に抑える努力をしている旨の報告がありました。
 次に、ハルビン市から、都市の発展に伴い環境問題がますます目立つようになり、「第11次5ヵ年計画」期間中に国家レベルの環境保護模範都市になることを目標としている旨の報告がありました。
 上田札幌市長からは、札幌市の地球温暖化対策の取り組みとして、雪冷熱、太陽光発電、木質バイオマス等の再生可能エネルギー等の積極的な導入事例やごみ減量とリサイクルの推進の取組の紹介のほか、「環境首都・札幌宣言」や「こども環境サミット」の開催、「国際短編映画祭」における「環境賞」の設置など、世界に向けて環境への取り組みを発信している旨の報告がありました。
 最後にアンカレッジ市からは、市内16,000の街路灯のうち4,000をLED街路灯にし、年間35万ドルの経費節減となる旨の報告がありました。

 

市長会議セッション2
 22日午前の市長会議セッションでは、持続可能な開発に関連させて、多文化と電子情報化について事例紹介が行われました。
 前半は多文化に焦点を当て、このセッションのモデレーターであるアンヌ・リー・レイマー氏(エストニア政府文化遺産部)から、「文化の安定や誰もが政治に参加できる社会は国の発展に重要であり、持続可能な開発など様々なプロジェクトを進める上での根源である。」旨の報告がありました。
 後半は電子情報化社会に焦点を当て、マルグス・ピューア氏(エストニア政府経済通信省国家情報システム局)から「電子情報化を進めることは資源の無駄を防ぐことにつながる。」として、エストニアの電子投票などITソリューションを利用した公共部門の効率化について報告がありました。また、1万トンの森林の不法投棄ゴミを回収したキャンペーン“Let’sdoit”の紹介がありました。これは、ボランティアによりゴミの放置場所を調査し、ウェブ上に地図として公開、誰もが現状を認識できるようにし、メディアや俳優も活用して回収ボランティアを募り、最終的に5万人のボランティアが集まり、1日でゴミを回収したものです。
 また、トロムソ市からは、住民から道路や街路灯の破損状況等を住民から情報を得て、市役所のホームページ上で公開し、当該ホームページで自宅の地下にあるものを確認できるほか、ゴミの収集日も住所を入れれば確認できるようになっているなどの報告がありました。

 

マールドゥ宣言の採択
 1月22日午前中に第14回世界冬の都市市長会議の締めくくりとして全体会議が開催され、マールドゥ市から提案されたマールドゥ宣言が満場一致で採択され、マールドゥ市長及び札幌市長(世界冬の都市市長会会長)の署名が行われました。
 マールドゥ宣言では「冬の都市こそが国際社会の先頭に立って地球温暖化問題に取組むべき立場である」こと、「我々自治体政府としても、身近な立場としてこの喫緊の課題に取組まなければならない」ことを確認し、「『持続可能性』をキーワードに冬の特性を生かしたまちづくりに積極的に取組む必要性」を共有しました。

 

第16回世界冬の都市市長会議開催市の決定
 1月22日の全体会議において、2014年市長会議開催市を韓国・華川郡に決定したことを正式に発表しました。

 

新しい小委員会の設置
 同じく1月22日の全体会議において、長春市から(仮称)「環境保全小委員会」の設置の提案があり、参加都市の了承を得ました。活動期間予定は4年で、事務局は長春市が担当いたします。
 調査事例としては、「都市部の大気中の微粒子物質の原因に関する調査」、「融雪剤による環境軽減に関する研究」を想定しています。

 

小委員会
 1月22日午後には、札幌市が事務局である「冬の都市環境問題小委員会」の4年間にわたる活動の最終報告が行われました。
 また、アンカレッジ市が事務局の「自治体の諸活動における環境保全活動小委員会」より、アンカレッジ市の再生可能エネルギーへの取組紹介があったほか、さらに、今後2年間、活動を続けていく旨の発表がありました。

 

会員都市の発表原稿

日本・札幌市の発表原稿 日本語版 英語版

 

会議参加都市(14都市)

中国

長春市、ハルビン市、ジャムス市、鶏西市、瀋陽市

エストニア

マールドゥ市

グリーンランド

ヌーク市

日本

札幌市

韓国

太白市、華川郡

リトアニア

カウナス市

モンゴル

ウランバートル市

ノルウェー

トロムソ市

アメリカ

アンカレッジ市

 

非会員都市(4都市)、団体(1団体)

エストニア

シンディ市

ラトビア

エーカブピル市

ノルウェー

ロングイェールビエン市、ノルウェー国立住宅銀行

ウクライナ

イリチェフスク市

 

マールドゥ宣言

 「持続可能な開発」という言葉がよく聞かれるようになった。これは、「環境と開発に関する世界委員会」によると「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことをいい、私たちの環境、資源、そして社会的問題にも密接にかかわっている。
 世界冬の都市市長会では、地球温暖化の影響が目に見えやすいのは我々冬の都市である一方、寒冷・多雪という気候特性を有するがゆえに暖房や除排雪等に消費されるエネルギーが膨大であり、地球環境への負荷を高めている自己矛盾を抱えているとの認識の下、冬の都市こそが国際社会の先頭にたって、地球温暖化問題に取組むべき立場であることを確認している。
 かけがえのない地球をいかに守って、次世代に引き継ぐのか。2009年12月の気候変動枠組条約締結国会議(COP15)でも注目されたように、国レベルで世界規模の話し合いが進められている。我々自治体政府としても、身近な立場としてこの喫緊の課題に取組まなければならない。このためには、技術的な対応はもちろん、倫理的にかなった決定をする必要がある。持続可能な開発とは資源を合理的に利用し、環境収容能力を勘案することにより、我々そして子どもたちの生活の質を向上させることである。地球と人類の未来のために、地球市民としての共存の意識をもつことが必要であり、そのためには、多文化への理解と尊重が不可欠である。また、電子情報の活用等による住民への情報提供は、住民の意識や知識の向上を促す。市民が公共サービスの利用し、国や企業、他都市の市民と同じ環境でコミュニケーションをとることができるよう、安全に情報利用ができる場を構築していく。電子情報は自然資源・人的資源が限られる中でのまちづくりに有効な手段となる。
 世界冬の都市市長会は、このネットワークを生かしながら、次世代によりよい地球環境を残すため、「冬の都市環境問題小委員会」及び「自治体の諸活動における環境保全小委員会」での活動及び提言を尊重しつつ引き続き世界の先頭にたって地球温暖化対策に取り組むとともに、「持続可能性」をキーワードに冬の特性を生かしたまちづくりに積極的に取組む必要性をここに共有し、確認する。

 

マールドゥ宣言

マールドゥ宣言に署名した札幌市長(右)とマールドゥ市長(左)

 

参加都市代表者

市長会議参加都市の代表者

 

 

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